COLUMN

コラム

2022.09.02
ピアニスト尾城杏奈が弾く、愛の挨拶

2020年 ピティナ・ピアノコンペティション 特級 グランプリを受賞した尾城杏奈さんをPLAY江古田にお招きし、『愛の挨拶』(エドワード・エルガー)を演奏していただきました。今後も定期的に演奏動画を掲載予定で、ピティナのピアノ曲事典にも掲載予定です。バリエーションに富んだ選曲をしていただいたので、ぜひお楽しみに。

さて本稿では、すばらしい演奏を披露してくださった尾城さんに、PLAYシリーズの魅力やグランプリ受賞の背景についてお話を伺います。

尾城 杏奈(おじろ あんな)Profile

尾城 杏奈(おじろ あんな)
▲尾城 杏奈(おじろ あんな)

第44回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ。全日本学生音楽コンクール中学校の部第1位。これまでに、トルン交響楽団、藝大フィルハーモニア管弦楽団、東京交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団等と共演。CD「高崎芸術劇場T-shotシリーズvol.4」「スクリャービン・ピアノ・ソナタ全集 Vol.1」をリリース。青山音楽財団、宗次エンジェル基金、ロームミュージックファンデーション各奨学生。北鎌倉女子学園、東京藝術大学附属音楽高校を経て東京藝術大学・同大学大学院修了。在学時に藝大クラヴィーア賞、卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞、藝大クラヴィーア賞を受賞。東誠三氏、日比谷友妃子氏に師事。


Q
今回初めてPLAY江古田のHallCで演奏していただきました。いかがでしたか?

「まず、内装デザインがフランスのようなかわいらしいテイストで、気分が上がりました。ホールに常設してあるスタインウェイのグランドピアノもすばらしく、響きが豊かで、こんなすてきな空間で演奏することができて幸せでした」

Q
「愛の挨拶」を選曲していただきましたが、その理由を教えてください。

「愛の挨拶のメロディを聴くと、爽やかで晴れやかな気持ちになるので、新生活らしさを感じると思い、選びました。個人的にもお気に入りの曲で、自身でリサイタルをする際にも、歓迎の気持ちをこめて冒頭に演奏させていただくことが多くあります」

Q
誰もが知る名曲ですが、改めてピアノソロの編曲で聴くとアルペジオがおしゃれで、新鮮な気持ちでした。

「ピアノソロではメロディも伴奏も一人で担わなくてはならないので、メロディが埋もれないようバランスよく響かせることを心がけています。また、スタインウェイのピアノがすばらしかったので、タッチに加減をつけて、魅力的な音色を引き出せるよう意識していました」

Q
尾城さんは幼少期からピアノが身近な存在にあったのですよね。

「母がピアノ講師だったので、自然とピアノに関心をもつようになり、4歳から先生につくようになりました。小さい頃は自分の演奏をみんなが喜んでくれることが純粋に嬉しく、人前で演奏する機会を楽しみに練習を頑張っていました」

Q
音楽の道で生きていきたいと思ったきっかけはありましたか?

「音楽中学、音楽高校と進むにつれ、先生や先輩、同級生から刺激をたくさん受け、音楽をもっと深く追求していきたいという思いを抱くようになりました。幼少期と変わってきたのは、発表自体がゴールではなく、作品に向き合う時間や深く学ぶ時間自体も楽しいと感じるようになったことです。そのあたりから、将来はピアニストとして、世の中にあるたくさんのすばらしい作品を勉強し、お客様に届けたいと思うようになりました」

Q
尾城さんは2020年ピティナ・ピアノコンペティションにて特級グランプリに輝きました。このときの思いを聞かせてください。

「ピティナは幼稚園時代からほぼ毎年のように受けていて、いつか特級に挑戦したいなと、幼い頃から憧れていた存在でした。高校生のときに初めて特級を受けましたが、一次選考を突破するのも大変な世界で。一時は『自分には厳しいかな』と思ったこともあったのですが、自分の成長につながることにはチャレンジすべきだと考え、4度目の挑戦でファイナルまで進むことができました。ファイナルでは、サントリーホールでオーケストラと共演することができるので、それを目標にしていたんです。グランプリに選ばれることはまったく予想していなくて、本当に驚きました」

尾城 杏奈(おじろ あんな)Profile
Q
コンクール自体とても緊張するものだと思いますが、ファイナルとなるとさらに大きなプレッシャーですよね。

「サントリーホールという大舞台ですし、配信で多くの方々が聴いてくださっている環境で、すっごく緊張していました。ですが舞台袖でピティナの方が『楽しんでね』と声をかけてくださったことや、指揮者やオーケストラのみなさんがとても優しく受け入れてくださったことから、最後は『一回限りだと思って楽しもう!』と振り切ることができました」

Q
グランプリに入賞して、生活は変わりましたか。

「PTNAの方々が本当に手厚くサポートしてくださって、さまざまな場でのコンサートやアウトリーチ、リサイタルなど幅広く経験させていただいています。多くのスケジュールをこなす中で一つ気をつけていることは、気づいたら “音楽に追われている”状態にならないことです。楽しむ心を忘れず、音楽と集中して向き合えるよう、スケジュール調整をするなどして工夫しています」

Q
もし尾城さんがPLAYシリーズに入居するとしたら、どんな生活を送られると思いますか?

「ピアノの場合は24時間演奏可能ということだったので、朝は早起きして練習すると思います。その後ジムに行って体を動かして、帰ってからはホールを借りて練習したいですね。響きのあるホールなので、本番を意識した練習ができ有意義な時間になると思います。わたしだったら、ホールはかなり活用すると思います。ミニリサイタルを開催して演奏を聴いていただくこともできるし、すてきな内装なので演奏動画の撮影をするのも映えますし、十分なスペースがあるのでアンサンブルの合わせもできますよね。外でスタジオを借りるよりもずっと気軽に使えるので、すばらしい環境だなと思います」


PLAYシリーズには音大生が多く入居しています。最後に、音大生に向けてメッセージをいただけますか。

「大学を卒業してコミュニティを出ると、新たな仲間と出会う機会は少なくなってしまいます。ですから学生時代は積極的にいろんな人とつながって、アンサンブルに取り組んだり、それぞれの音楽観を吸収したりしてはいかがでしょうか。また、学生時代は音楽史や和声など、音楽を勉強する上で必要な知識をじっくり学ぶ絶好の機会です。演奏や課題に追われるばかりでなく、ぜひ時間があるタイミングで取り組んでみてください。充実した音楽ライフを送ってくださいね」

尾城 杏奈(おじろ あんな)Profile